魏略から考察する狗邪韓国

「従帯方至倭循海岸水行歴韓国到拘邪韓国七千里」

上記は「魏略」の一文で、現在は「翰苑」で残されています。意味としては、帯方郡から倭の国境に至には海岸沿いに水行し、韓国を越して、７千里で狗邪韓国の都に到る。と訳せます。

魏志倭人伝でも同様な一文があり、「帯方（郡）」は単なる「郡」として、特に記さななくても判るものは省略しているようです。

魏志倭人伝では魏略にない「乍南乍東」が含まれ、より詳細に水行した様子が表現されています。意味は、南に行ったら、次は東に舵を取ったとの意味で、朝鮮半島の地形をよく表していると思われます。

魏志倭人伝では魏略にない「其北岸」が含まれているのも大きな特徴で、「其」は倭を指している事から狗邪韓国は倭の北岸に位置していると考えられます。基本的に「至」は国境に至、「到」は目的地（都や港）に到着するという意味なので、倭の国境と狗邪韓国の拠点が略、同義である事が推察されます。又、魏志倭人伝では最低百里としている為、狗邪韓国の国の長さは１０ｋｍにも満たない拠点的な国だったと思われます。魏略、魏志倭人伝、共に、狗邪韓国の官名、戸数、国の様子が表現されていない事から倭国では無いとも考えられますが、倭の国境と同義でもある為、少なくとも倭の中にある国である事は確実なのではないでしょうか？陳寿はそれを察して「其北岸」を追加したのかも知れません。さらに言うと「魏志韓伝」には「韓在帯方之南、東西以海為限、南興倭接」の一文があり、「韓」は帯方郡の南に位置し、東西は海によって隔てられ、南は倭に接すると訳せ、狗邪韓国が倭にある事を補完しています。

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