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 新海三社神社(上宮寺仁王門)

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新海三社神社・神社山門:写真

新海三社神社(長野県佐久市)・上宮寺仁王門

新海三社神社(佐久市):概要

新海三社神社長野県佐久市)は佐久地方で鎮座する神社の中では最高位である惣社とされ、そこに暮らす住民にとっては信仰の中心的な存在でした。祭神である興波岐命は信濃国一宮である諏訪大社の祭神である建御名方命が母神が祭られている日光二荒山神社(栃木県日光市:下野国一宮)に向かう最中に、貫前神社群馬県富岡市:上野国一宮)の祭神である荒船大明神と契り生まれた御子神とされます。荒船大明神は朝鮮半島又は大陸出身の女神とされ、当初は荒船山に鎮座していましたが、里宮とも言える貫前神社に信仰が遷り、貫前神や姫大神、抜鉾神と呼ばれるようになっています。その後、物部氏系の一族が当地の土着すると氏神である経津主神が合わせて祭られるようになっています。建御名方命は大国主の御子神で国譲りの際に建御雷神との力比べに敗れ諏訪地方に逃れたとされます。一般的には大国主と沼河比売(新潟県糸魚川市奴奈川神社の祭神)との御子神とされますが、新海三社神社に伝わる伝承では田心姫命との御子神となっています。何れにしても、新海三社神社が境内を構える佐久地方が諏訪地方と群馬県南西部に挟まれ、それぞれの神の御子神である興波岐命が祭られているは興味深いところです(佐久地方は挟まれている両地域より開発された時期が遅かったのかも知れません)。一方、新海三社神社の周辺には古墳が点在している事から、古墳時代に当地域を支配した豪族が氏神として祭ったとも感がられます。又、興波岐命は八県宿禰神と同神とされ貞観10年(868)に正五位下を授けられている事から平安時代には既に格式の高い神社として認識されていた事が窺えます。その後の歴史は不明の部分が多いのですが、新海三社神社の別当寺院だった新海山上宮本願院神宮密寺の後継寺院である上宮寺に伝わる伝承によると嘉祥2年(849)に創建されたと伝えられています(口伝では西暦600年代に上宮太子(聖徳太子)が開いたとも)。真偽の程は不詳ですが、平安時代後期頃には神仏習合し別当寺院が存在していと推定されています。

現在、新海三社神社の境内に残る最古の遺物としては西本社と中本社の間に建立されている御魂代石で幢身には龍の彫刻と共に延文3年(1358)3月12日に銘が刻まれています。この御魂代石には新海三社神社の祭神が降臨すると云われ、境内の配置などからも、当初は磐座のような素朴な自然崇拝や山頂を祭る遥拝施設が次第に人間が理解しやすい形に推移し最終的に本殿になった過程かも知れません。又、上宮寺には天文12年(1543)に田口城主田口長能から奉納された梵鐘(暦応元年:1338年鋳造)が残されている事から中世は田口氏によって庇護されていたと思われます。その田口氏も天文15年(1546)に武田信玄の侵攻を受け田口城が落城し、天文17年(1548)には最後の当主となった長能が討死し没落しています。その後、領主となった武田信玄(躑躅ヶ崎館の城主)は新海三社神社を崇敬し永禄6年(1565)には新海大明神宛てに戦勝祈願の願文を奉納し箕輪城(群馬県高崎市)攻めを行っています。

神仏習合時代の新海三社神社の境内には楼門や回廊によって神域が護られ、その右側には仁王門があり仏教色の強い、本地仏を安置する観音堂や三重塔が建立され、参道には別当寺院である新海山上宮本願院神宮密寺が境内を構えていました。その他にも境内には神楽殿や手水社、復数の建物があり佐久惣社に相応しい伽藍配置となっていいました。しかし、明治時代の神仏分離令により仏教色を廃止する流れとなり、新海山上宮本願院神宮密寺は後継寺院となる「上宮寺」に寺号を改め、境内と堂宇の一部を移転しました(三重塔は新海三社神社の宝蔵として解体、移転を免れています。)。現在、上宮寺の仁王門は神仏習合時代に観音堂の前に配されていたもので、切妻、桟瓦葺、三間一戸、八脚単層門、内部には室町時代の文明2年(1470)に、仏師大工裕得、小工伊賀寺雄真によって彫刻された金剛力士像(長野県・県宝)が安置され、往時の名残を継承しています(仁王門は移転してきた事から不自然な配置となっています)。

長野県の神社山門
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