・当建物は江戸時代末期に建てられたもので、木造平屋建て、寄棟、茅葺、知覧型二ツ家と呼ばれる「おもて」と「なかえ」と呼ばれる2つの棟とそれを繋ぐ小棟によって構成されています。
「おもて」とは所謂接客空間で、座敷等格式の高い意匠が用いられ、そこには男玄関と呼ばれる出入り口があり、身分の高い人物や、家長と長男だけが利用出来たとされます。
一方「なかえ」とは家人が日常生活を営む空間で、そこには女玄関と呼ばれる出入り口があり、家長と長男以外の家人が利用しました。
この形式が確立する以前は「おもて」と「なかえ」だけでなく、風呂や便所等、機能や用途毎、異なる建物が建てられた分棟型でしたが、生活が不便だった事もあり、知覧では二ツ家と呼ばれる独特な形式が生れたとされます。
当建物は以前、旧知覧町の瀬世中集落に建てられたものですが昭和57年(1982)に現在地に移築され、一般公開されています。
知覧麓が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されると、その構成物件に選定され、日本遺産「薩摩の武士が生きた町 〜武家屋敷群「麓」を歩く」に認定されると構成文化財に指定されています。
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